個人的サプリメントを探すこと

このところどこか体調がすっきりせず、なんとなく不調だなあと思っていたのだけれど、
ある夜、布団に入ってもまったく眠れる気配がなかったので、
ひとまずベッドから出て、自分の身体の声にじっくりと耳を傾ける時間にすることにした。

まずソファーの上に仰向けに寝そべり、ゆっくりと呼吸をしながら注意を身体に向ける。
身体のどこかが何か声を上げてくれるのを静かに待ってみる。
すると、いつも痛くなる腰ではなく、首から後頭部が詰まっているような感じがあった。

なるほどそうなんだ?とゆっくり首から後頭部、頭頂部にかけてをマッサージしながら、
丁寧に、その頭の「濃く詰まったような感じ」に話しかけてみる。
きみは何を伝えようとしているの?

そうやってしばらく頭の詰まりを感じながら頭部をマッサージしていたら、
突然スコン!とその詰まった感じが抜けて、
すぱっと頭がクリアになったのがわかった。

それと同時に、それまで頭にあった「詰まった感じ」が言葉となって手元に落ちてきた。
それは自分にとっては分かり易すぎる明快な答えだったので、
思わず「なるほどーー!」と唸りながら笑ってしまった。

私の頭は「もっと思考したい!」「もっと働きたい!」と叫んでいたようだった。

もとより私は、本を読んだり友達とゆっくり話をしたり、カフェでぼーっと考え事をしたりして、新しい考えを自分の身体の内側から感じようとすることや、脳のポテンシャルをきりきりと追い込んで、限界を超える思考ににゅーっと抜けていこうとするような
「頭を使った挑戦」みたいなものに充足感を得る傾向がある。

でも気づけばここ2か月ほど、集中して本を読んでいない。
時間がまったくないわけではないのだけれど、「まずやるべきことを先にやらないと」という罪悪感があって、じっくり何かを考えたり本を読んだりする時間を持たないでいた。
同じ理由で、友人とゆっくり話したりする時間も作らなかった。
わかってはいたけれど、これは自分には「禁欲的」に過ぎたらしい。

頭の中にエネルギーを貯めながら待ちぼうけになっていた脳みそが、
ついに「もうがまんできなーい!」というところまでパンパンになっていたもよう。
頭が羽を伸ばしたがっている!

さて、じゃあ、お望み通り何かわくわくするような、
ぐっと入り込んで思考が遊びまわれるような本を、読もうじゃないの!

というわけで明け方の4時。
本棚をさっと見回して、選んだのはこれ。


完全なる人間 [第2版]:魂のめざすもの

完全なる人間 [第2版]:魂のめざすもの

邦訳の名前がやや仰々しいけれど(笑)
(原題は『TOWARD A PSYCOLOGY OF BEING(実存の心理学に向けて)』)
「欲求の五階層」論で有名な心理学者マズローの本。

知恵とユーモア滴るマズローの文章を、ごくごくと喉を鳴らして冷たい水を飲むみたいにして読んだ。
おかげで頭はすっきり。
すっかり明るくなるころ、満足して眠りに着きました。

常々患者さんに「自分にとって栄養になるような時間を持つこと」をお勧めしているけれど、
改めて、その大切さを思った。
あるいは、それを見つけられるやり方を知っているかどうか、が鍵なのかもしれない。

いずれにせよそのどちらも、必ず身体が教えてくれる。