「最も個人的なものは最も普遍的なものである。」

これもロジャーズの言葉。

最も個人的なものは最も普遍的なものである、と私も信じたい。
ねじまき鳥クロニクル』の主人公は、井戸の底に降りていく。
その「自分の井戸の底」こそが「それ以外の場所」に通じている場所だった。

神話学者ジョーゼフ・キャンベルは「英雄とは」と問われて、
「英雄とは、個人的な冒険をする者です。」と答えている。
それが自分のためであれ他人のためであれ、
自分の人生、自分の選択を生きる者が「個人的な冒険者」だと彼は言う。
そして「自分自身がいきいきと生きること、自分自身が輝くことこそが、世界を輝かせることになるのだ」と。

そう言えば河合隼雄さんは、「自己愛的利他主義」という言葉を作っていたっけ。

自分の中に深く深く降りていくことが、他者への通路でもあること。
自分自身が力強く輝こうとすることこそが、世界が輝くことにつながること。
自分自身にやさしくありながら、人にやさしくあるようなやりかたがあること。

一見矛盾するかのように思われがちだけれど、
近頃、すっかりこちらのほうが自然に思える。